時代をかけめぐる母親は怒った七面鳥を面白く見るのが好きです。性格が似ているせいか、台湾語では、うるさくて怒りっぽい女性を「フェ―ゲーボ（メスの七面鳥）」と呼んでいます。
七面鳥の怒り方はオスとメスで異なります。メスの場合は、カゥ、カゥ、カゥと鳴き、ニワトリのメスの鳴き声よりも強烈で、両者が同時に鳴くと、まるで上海と山東の女性が会話しているかのようにうるさく響きます。
一方、七面鳥のオスの怒りぶりは迫力に満ちています。その肉垂れは怒った時に最初に反応して、小さなつぶつぶが膨らみ、赤と青の色が交互に変わります。翼は緩やかなカーブから一気にまっすぐに伸び、地面を切り裂くように広がります。暴徒を排除するかのような勢いで、ゆっくりと確かな足取りで相手に近付き、左足が2歩引きずって前進し、代わってもう一方の足が2歩突進します。その光景に怖く感じずにはいられず、泣き叫ばない子どもは普通はいないでしょう。
七面鳥は赤が嫌うと母親は語っていました。ある日、赤の短いスカートを履いた姉の静子に、オスの七面鳥が右足まで駆け寄り、翼でそのスカートを薙ぎ払い、そして左足でふくらはぎを直撃しました。
七面鳥は家禽類の中では面倒を見る必要がある部類に入りますが、それでも母親はそのことを苦にせず、積極的にエサをつつかない七面鳥に対しては、まるで赤ちゃんに食べさせるかのように、手に乗せたエサを嘴に近づけて与えます。11月の冬が訪れると、七面鳥は富と温かさをもたらしてくれるからです。
日本人がお正月を迎える際に、七面鳥が食卓に登場するおかげで、七面鳥は母親にとってまるで銀行のATMカードのような存在です。肉をたっぷりとつけた七面鳥をATMに入れると、札束が出てくるかのようなイメージを連想させます。
最初の七面鳥を売り、母親は自身のサイズにぴったりの長靴を手に入れました。それまでは家族の中で長靴を持つのは父親だけで、母親は裸足のまま仕事に出かけていました。線路沿いの道を歩き、子どもの通学に付き添う際だけ、父親の長靴を借りていました。それは、軽い高所恐怖症を抱える母親は、子どもの手を握りながら裸足で枕木の間を歩く際に足裏が痺れるというからです。それでも、大きすぎるために靴は合わなく、足と靴がこすれ合い、まったく心地よくありませんでした。まるでぎくしゃくする夫婦のように互いにつらい思いをさせてしまいます。
母親は、長靴を履く自分はまるでお芝居をしていると語り、七面鳥を売って、生活の負担が軽減され、サイズの合わない芝居の衣装を脱いだかのように楽になるのだと言いました。