順泰が使う水頭の部屋は年間を通じてヒノキの香りが漂います。枕元に近い壁際に置かれた紅檜(ベニヒ)が香りの源で、それはひつぎを作るために備えておいた材木です。ひつぎという言葉の方が分かりやすいですが、母親は縁起の悪い言葉を… 続きを読む Chapter 35
ひつぎの材木

初めて母親が「ルーテゥン」という台湾語を口にした時、私はそれが食べ物の鶏の胃の煮物を指す言葉だと思いました。しかし、実際の意味は全く異なります。台湾語の発音は同じですが、それは植物由来の天然洗剤を指していたのです。 母親… 続きを読む Chapter 34
「ルーテゥン」

宜蘭は台湾で降水量と湿気が最も多い地域で、洗濯物を干すのは母親にとって大変頭の痛いことのはずだが、そうではありませんでした。 水頭で洗濯物を干すには、風吹き、岩焼き、乾燥の3つの方法があります。 水頭の家は電力会社の古い… 続きを読む Chapter 33
洗濯物を干す

山の人々は大体定職がなく、あっても薄給でギリギリで食べていける程度で、農地を所有する極一部の人でもその収穫は大家族の食い扶持を確保するのは難しく、そのため、台湾電力と林業の作業班の日雇い労働が家計の穴を埋める収入源となり… 続きを読む Chapter 32
阿環仔の笑い話

母親は怒った七面鳥を面白く見るのが好きです。性格が似ているせいか、台湾語では、うるさくて怒りっぽい女性を「フェ―ゲーボ(メスの七面鳥)」と呼んでいます。 七面鳥の怒り方はオスとメスで異なります。メスの場合は、カゥ、カゥ、… 続きを読む Chapter 31
七面鳥(二)

母親はこれまで飼ってきた家畜や家禽の中で、多様な特徴を持つ七面鳥が一番興味深いと言っています。 最初、母親は七面鳥の雛が一番愛らしく映ると感じ、オスとメスの雛を一羽ずつ購入し、飼育繁殖しました。七面鳥の雛は鶏の雛とさほど… 続きを読む Chapter 30
七面鳥(一)

1つ母親がずっと気になる出来事がありました。 天送埤には蘭陽発電所があり、その横に社員寮が設けられています。敷地内にはテニスコートも完備されており、何より最もワクワクさせるのは公共浴場です。順泰と弟は、山の下の天送埤に引… 続きを読む Chapter 29
公共浴場に入るべからず

水頭という地域では、眠れぬ夜が多く、その原因はほとんどの場合、ヘビです。 ある晩、上の姉、静子は微かな灯りに導かれ、部屋の隅で小便桶で用を足そうとしました。しかし、足元には1匹の台湾ハブが小便桶に巻き付いているのが目に入… 続きを読む Chapter 28
蝶の訪れた騒がしい夜

「順進のボロボロの服を思い出すと、心が痛くなる」と母親は進次が高専を卒業した際の情景を思い起こします。「台北の国父記念館で、立派な会場に多くの人が集まっている中、彼がボロボロの服を着てそこに立っていた、、、今でも心が痛い… 続きを読む Chapter 27
卒業式

早朝、静子と花子は枕木の橋を歩きながら、通常の学校への道ではなく、夏休みが始まったばかりで、母親に言われて九芎湖へ向かっていきました。彼女たちはサツマイモの葉っぱを採りに行くのです。2人が背負っている竹籠には、まるで山の… 続きを読む Chapter 26
スモモを盗み食いする